あっちにも、こっちにも、前のほうにも、うしろのほうにも、

ディンギイーを取り巻いて、

ジンベイたちが口をパクパクさせている。

幼かった、むかし、近くの尼ヶ坂の片山神社のお祭りの時、

お宮さんに駆けつけると、

裸の電灯が、キラキラと、まぶしく光る夜店が、ズラリとたち並んで、

カッコいい、いなせなアンちゃんたちが、

声を張り上げて、ドウだドウだと金魚を、

掬ってみせてくれた。

あの時、金魚たちが口をパクパクさせているのを

今でも鮮明に覚えている。

ちょうどあの時の金魚たちのように、

でっかい図体のジンベイザメが、

口をパクパクしている姿には、ほんとうに驚いた。